【人違い_1】
……終わった。大学のHPを確認し、僕はPCの前で灰になっていた。画面にずらりと並ぶ「不可」の2文字。今日晴れて4年間では卒業出来ないこと――すなわち留年が決定したのだった。当然と言えば当然だった。某FF11が忙しくて大学は自主休講だったし。で、でも!某FF11は遊びじゃないし!と開き直ってみても空しくなるだけだった。ああ、これからどうなるのだろう?今更になって将来の不安が頭の中にじわりじわりと広がって行くのを感じる。...
【死神_1】
僕は駅の構内で見かけた少女に目を奪われていた。黒いモーニングドレスに漆黒の髪、それとは対照的な黒いヴェールの通しても分かるほどの白い肌。すらりと伸びた長い腕はそのほとんどが黒い手袋で覆われていたが、それとコントラストをなすような透き通った肌が二の腕あたりから僅かに見えているのが扇情的だった。葬式だろうか?いや、ただのコスプレ?文句の付けようのない完璧な“喪服”は彼女にこそ似合っていたが、駅構内という...
【人違い_2】
結局タナカサンがどなたか分からず何日かが経った。美人局かも知れないと布団の中でビクビクもしてみたが、結局怖いお兄さんは来なかった。そして新学期。留年が決定した今からでは遅すぎるが、今日から僕は生まれ変わる。そんな決意を胸に大学へ。引きこもってたので勿論友達はいない。1人孤独に一限の授業を受ける。後ろの方に固まって座っている仲良しグループにも、最前列に座っている真面目な人たちにも混じることなく、その...